「魚は3歩歩けば忘れる(歩かないけど)」なんて、昔からよく言ったものだ。
僕も釣れない日の言い訳によく使っていた。「さっきバラしたけど、まあ3秒もすれば忘れてまた食ってくるでしょ」と。でも、最近の研究結果を知ってから、夜の堤防でメバルと目が合うのがちょっと怖くなってしまった。
どうやらアイツら、僕らが思っている以上に「根に持つタイプ」らしいんだ。
3秒どころか「数ヶ月」。魚のハードディスクは意外と大容量

「魚の記憶力は数秒しかない」という説は、今や完全に過去の遺物だ。
オックスフォード大学などの研究チームが行った実験では、特定のパターンを学習させた魚は、数ヶ月経ってもその内容を覚えていたという。それどころか、一度「これは危ない」と認識した色や形を、1年近く記憶し続けるケースもあるらしい。
つまり、去年僕がテトラの際で痛恨のフックアウトをぶちかましたあのメバルは、僕の顔とルアーのカラーをバッチリ記憶して、「あ、あのアカキン持った下手くそがまた来たわ」と仲間に触れ回っている可能性がある。

これ、釣り人にとってはホラー以外の何物でもない。
「スマート漁具」時代の到来と、魚のアップグレード


最近のニュースでは、AIを使ったスマート釣具や、水中の状況をリアルタイムで解析するガジェットがどんどん出てきている。でも、僕らがテクノロジーに頼れば頼るほど、魚の側も「学習」という名のOSアップデートを繰り返している。
特に最近注目されているのが、魚の「社会的な学習能力」だ。 一匹が釣り上げられる様子を見た周りの魚が、「あ、あの動きをする物体はヤバい」と学習し、群れ全体がスレる(警戒する)。
僕らが「今日は食いが渋いな」なんてボヤいている間、水中では「【速報】また例のワーム来ました。皆さんスルーで安定です」みたいなグループチャットが回っているのかもしれない。
側線という名の「超高性能センサー」の正体


魚には「側線」という、水圧や振動を感じ取るセンサーがあるのは有名だけど、これがまたエグい。
最新の流体力学の研究によれば、魚はこの側線を使って、わずか数ミリの水の揺らぎから「それが餌の振動か、それともプラスチックの偽物の振動か」を見分けている可能性があるという。
僕らが1万円以上する高性能なリールを使って「至高の巻き心地」なんて酔いしれている横で、魚は「あ、この振動、去年痛い目見たやつと同じ周波数だわ」と冷めた目で分析している。もはや最新のステルス戦闘機とレーダーの攻防に近い。
【まとめ】次に堤防に立つとき、僕らは試されている
結局のところ、魚の記憶力や知能を舐めていたのは僕ら人間の方だった。
「どうせ魚だろ」なんて思っていたけれど、あのメバルの、すべてを見透かしたような澄んだ瞳を見れば、どっちが上の立場かなんて一目瞭然だ。彼らは、僕らが思っている以上に「個」として僕らを見ている。
次にルアーを投げるときは、ちょっとだけ「敬意」を込めてみようと思う。 「去年のことは、お互い水に流そうぜ」と心の中で語りかけながら。
…まあ、そうやって丁寧にアプローチした挙句、完全に無視されるのがいつものオチなんだけど。それがまた、釣りの面白さだったりもするのだけれど。


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