「春告魚(はるつげうお)」って響き、いいですよね。
でも、関東の人が「ニシンだよね」と言えば、関西の人は「いやいやメバルでしょ」と返す。このちょっとした食い違いも、季節の訪れを感じる風物詩みたいなものです。
さて、今回の主役はそのメバル。 堤防から覗き込むと、海藻のそばで「ぼーっ」と浮いているアイツです。
釣りをしない人でも、魚屋で見かければ一発でわかりますよね。だって、あんなに目が「バチーン!」と見開いている魚、他にいませんから。
なんでそんなに目がデカいの?

メバルを漢字で書くと「目張」。 名前の由来そのまんまですが、あのでっかい目、実は超高性能なナイトビジョン(暗視スコープ)なんです。
メバルは夜行性。 太陽が沈み、辺りが暗くなってからが彼らの本番です。 想像してみてください。月明かりすら届かないような暗い海の中で、数センチの小エビを探さなきゃいけない。もし僕らがあの環境に放り出されたら、何も見えずに空振り連発でしょう。
でも、メバルは違う。 あのでかいレンズで、わずかな光をかき集めるんです。
「上」しか見ていない、ストイックな視線
メバルの目って、ちょっと上向きについてるのに気づきました? 彼らは海底にじっと潜みながら、海面を見上げています。
- 獲物のシルエットを狙い撃つ。
- 空からの光を遮る「影」を逃さない。
下から見上げれば、エサとなる小魚は逆光でくっきり浮かび上がる。 あのでかい目は、効率よく獲物を仕留めるための、いわば「進化の執念」の塊なんです。そう思うと、あのとぼけた顔も、なんだか凄腕のスナイパーに見えてきませんか?
実は「赤ちゃん」を産むんです

ここ、意外と知らない人が多いんですが、メバルは卵を産みません。 正確には、お腹の中で卵を孵化させて、「魚の形」になった赤ちゃんを産む(卵胎生)んです。
これ、個人的にはすごくグッとくるポイントで。 冬の寒い時期、お母さんメバルは自分のお腹の中で、小さな命が1センチくらいになるまでじっと守り続けます。そして春、ようやく準備が整ったところで、一斉に海へ放つ。
「春告魚」と呼ばれるのは、ただ春によく釣れるからだけじゃない。 新しい命を海に解き放つ、生命の息吹そのものだから。
そう考えると、なんだか煮付けにするのがちょっと申し訳なくなったり……(いや、食べますけどね。美味しいから)。
釣り人の独り言:メバルは「待つ」魚
メバルを釣っていると、彼らの性格がよくわかります。 アジみたいに走り回るわけじゃなく、岩陰でじーっと「その時」を待っている。
大きな目で世界を凝視し、チャンスが来たら一気に吸い込む。 あのパッチリした目は、過酷な海で生き抜くための、彼らなりの「真剣勝負の証」なんですよね。




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