「400年生きたサメ」が語る江戸の海。僕らが釣るアイツは、幕府のゴミ溜めを知っている。

「……このサメ、もしかして俺のひいじいちゃんより年上か?」

北極海で「推定400歳のニシオンデンザメ」が発見されたというニュースを読んだとき、変な汗が出た。
400年前といったら、日本は江戸時代初期。徳川家光が参勤交代を制度化したくらいの頃だ。

僕らが堤防で格闘しているサメやエイの中にも、もしかしたら「隠居」レベルの長老が混ざっているかもしれない。
もしアイツらに言葉が通じたら、真っ先にこう言われるだろう。

「今の海? いやぁ、昔に比べりゃ天国だよ」ってね。

目次

意外? 江戸の海は「超絶ブラック」な汚れ方だった

僕らは勝手に「昔の海は透明でキラキラしていた」と思いがちだけど、実は江戸の海(特に江戸前)は相当エグいことになっていたらしい。

当時の江戸は世界最大の100万人都市。なのに下水道なんてハイテクなものはない。
どうしていたかと言えば、生活排水も、生ゴミも、そして100万人分の「アレ(排泄物)」も、巡り巡って川から海へダイレクトアタックだ。

現代のプラスチックゴミも問題だけど、当時の海はもっとこう、「物理的に濃い」汚れ方をしていた。
今の僕らがタイムスリップして当時の大川(隅田川)の河口で釣りをしたら、あまりの臭いに一投目で心が折れる自信がある。

400歳サメが見た「幕府のゴミ捨て場」

もし江戸初期から生きているサメがいたら、彼らの記憶には「埋め立て」の歴史が刻まれているはずだ。

江戸という街は、とにかくゴミで海を埋め立てて大きくなった。今の銀座や日比谷だって、元々は海。そこに江戸中のゴミを放り込んで土地を作ったわけだ。

サメ長老からすれば、お、今日は新しいゴミ(土地)が降ってきたな」くらいの感覚だったのかもしれない。僕らが今、綺麗な公園だと思って歩いている地面の下には、400年前のサメが呆れて見ていた「当時の不法投棄」が眠っている。そう思うと、足元の地面が急に歴史の重みでフカフカしてくる。

「江戸前」が美味いのは、皮肉にも汚れのおかげ?

でも、ここからが自然の面白いところ。 そんな「汚れ」が、実は江戸前の豊かな生態系を作っていたという皮肉な話もある。

大量の有機物(要するに生活排水)が海に流れ込むことで、プランクトンが爆発的に増える。それを食べる小魚が増え、さらにそれを追って、今の僕らが大喜びで狙うスズキやクロダイ、そしてサメたちが集まってくる。

「江戸の魚が美味かったのは、人間が海を汚したおかげで栄養満点だったから」という説。釣り人としては複雑な心境だけど、アイツらはいつの時代も、人間の身勝手な振る舞いを「エサ」に変えて生き抜いてきたわけだ。

【まとめ】長老サメに「今の海」はどう映るのか

結局、僕らはいつだって「今が一番ひどい」と思いたがる。

プラスチック問題、温暖化、赤潮。確かに課題は山積みだ。でも、400年前から海を見続けているサメ長老からすれば、今の海は「ずいぶん透明になったし、変なモノも流れてこなくなったし、快適じゃね?」なんて思っているのかもしれない。

今度、釣り場で得体の知れない大物に糸を切られたら、怒る前にちょっと想像してみてほしい。 「もしかしたらアイツは、江戸のゴミ溜めを生き抜いてきた歴戦の猛者だったのかもな」と。

そう思えば、高価なルアーを持っていかれたショックも、ほんの少しだけ「歴史への授業料」として納得できる……わけないか。やっぱり、返してほしい。

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