「あ、今、魚と目が合った気がする」
釣り人なら一度は口にしたことがある、あの根拠のない自信。でも、水の中の彼らが一体何を見て、何を嗅いで僕らの仕掛けに近寄ってくるのか。それを知ると、いつもの退屈な待ち時間が、少しだけスリリングな心理戦に変わります。

今回は、魚の「視覚」と「嗅覚」にフォーカスして、僕なりの考察を混ぜつつ書いてみます。
魚の「視界」は、僕らが見ている世界と全然違う


まず、魚の目。彼らの視力は、実はそんなに良くありません。 多くの魚は0.1〜0.2程度。
「なんだ、ボヤボヤじゃないか」と安心するのは早いですよ。
彼らは僕らが持っていない特殊能力を持っています。
色の識別能力がエグい
魚は、人間には見えない「紫外線」が見えていると言われています。 特にルアーフィッシングで「ケイムラ(蛍光紫)」カラーが効くのは、彼らにとってそれが不自然に、いや、魅力的にギラリと光って見えているから。
僕らが「このルアー、いい色だな」と思って選ぶ基準と、水深10メートルの暗闇で魚が見ている基準は、全く別物。
彼らは色彩のグラデーションに、僕ら以上に敏感なんです。
広い、広すぎる視野
魚の目は横についていますよね。 おかげで、彼らはほぼ360度を見渡せます。真後ろ以外は全部見えている。
「背後からそっと近づけばバレないだろう」なんていう人間の浅知恵は、水面に入った瞬間の影や振動で一瞬にして見破られます。
あいつら、案外クールにこっちを観察しているんですよ。
「鼻」が利く、なんてレベルじゃない


次に「嗅覚」。これがまた、人間の想像を絶する世界です。
たとえばサケ。 彼らが生まれた川に戻ってこれるのは、川の水の「匂い」を覚えているからだという説が有名ですよね。 犬の嗅覚がすごいのは有名ですが、魚(特にウナギやサメ)の中には、犬に匹敵、あるいはそれ以上の嗅覚を持つやつらがゴロゴロいます。
1滴の「恐怖」に反応する
魚は、傷ついた仲間から出る「警報物質」という匂い物質を、プール1杯分に1滴垂らしたレベルの薄さでも感知すると言われています。
僕らがエサを触った手でタバコを吸ったり、日焼け止めを塗ったりしたその指先。 その微かな「違和感」が仕掛けに付着しただけで、彼らにとっては「あ、これ怪しいやつだ」とアラートを鳴らす原因になっているかもしれません。
まとめ:結局、僕らはどう向き合うべきか
こうして考えると、釣れない理由なんて無限に見つかります。 「今日は潮が悪い」なんて言い訳をしますが、実は僕の手についたコンビニおにぎりの匂いや、派手な色のウェアが水面に反射したせいかもしれない。
「視覚」で騙し、「嗅覚」でトドメを刺す。
ルアーの動きでスイッチを入れさせ、最後に「食っても大丈夫だ」という安心感を匂いで与える。この二段構えを意識するようになってから、僕のボウズ(1匹も釣れないこと)は確実に減りました。
でも、一番面白いのはここから。 これだけハイスペックな感覚を持っている魚が、なぜか時々、プラスチックの塊や、安っぽいゴムの疑似餌に猛然と襲いかかってくる。
緻密な計算を、野生の衝動が上回る瞬間。 それがあるから、釣りはやめられないんですよね。







コメント